ツンと尖った鼻先が特徴のセイブシシバナヘビは、基本的におとなしい性格をしているため、ヘビ飼育初心者にもおすすめの生き物として知られています。
今回はセイブシシバナヘビの寿命や値段、飼育に必要な設備からお世話の仕方などを徹底解説いたしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
セイブシシバナヘビが初心者におすすめの理由
まずは、セイブシシバナヘビが初心者におすすめの理由から解説していきます。
あまり大きく成長しない
初心者におすすめの理由としてまず挙げられるのが、セイブシシバナヘビはあまり大きく成長しないという点です。
ヘビの中には最大1~2mを超えるような種類もたくさんいて、その分広いケージが必要になります。
一方、セイブシシバナヘビは比較的小型な種類のため、オスは40~60cm、メスは大きくても80cm程度で成長が止まります。
ちょっとしたスペースがあれば飼育できるという点が、セイブシシバナヘビをおすすめする一番の理由です。
おとなしい性格をしている
2つ目の理由は、おとなしい性格をしているという点です。
ヘビは縄張り意識や警戒心が強く、すぐに噛み付いてきたり、お世話に注意が必要な種類も多いです。
しかし、セイブシシバナヘビはよっぽどのことが無い限り、噛み付いてくるようなことはしません。
ここで言う「よっぽどのこと」とは、例えば餌のにおいがついた指を見せたり、無理やりちょっかいを出すような行為を指します。
つまり丁寧に接していれば噛まれる心配が少ないので、初心者のかたでも安心して飼うことができます。
動きが遅い
動きが遅いというのも、セイブシシバナヘビが初心者におすすめの理由として挙げられます。
俊敏性の高いヘビは一瞬目を離しただけで逃げてしまうので、かなり慎重に世話をしなければなりません。
その点、セイブシシバナヘビは動きがゆっくりなので、心に余裕をもって接することができます。
特にフンの片付けをするために移動させたり、ハンドリングをするようなときは、見失う心配が少なく扱いやすいです。
ただし、いくら動きがゆっくりなセイブシシバナヘビとはいえ、ケージのフタが空いていると脱走してしまう可能性があります。
ケージの戸締まりは忘れないようにしましょう!
寿命と値段
続いてはセイブシシバナヘビの寿命や、購入する際の相場について解説していきます。
寿命は平均して15年
ヘビは全体的に長寿な生き物で、セイブシシバナヘビも平均して15年ほど生きることができます。
長い付き合いになるので、『最期まで責任をもつ』という覚悟をもって飼育をしましょう。
値段の相場は3~6万円
販売価格はモルフや性別にも寄るのですが、3~6万円が相場です。
やはり、珍しいモルフほど高額になります。
また、同じモルフ・同じ時期に生まれた個体でも、オスよりメスのほうがやや高い値段で販売されていることが多い印象です。
ちなみにモルフとは柄や色味のことを指します。
例えば猫にもキジトラや白黒、三毛などさまざまな毛色のパターンがあるように、セイブシシバナヘビも色味のパターンが複数存在します。
ぜひお気に入りのモルフを見つけてみてくださいね。
飼育に必要な設備
続いてはセイブシシバナヘビを飼育する際に必要な設備についてご紹介をしていきます。
絶対に必要な設備
下記の設備は必ず揃えておきましょう。
- ケージ
- 水入れ
- パネルヒーター
- 温湿度計
- 掃除用品
- ピンセット
- 餌(冷凍マウス)
ケージ
まず必要なのがケージです。
爬虫類用のガラスケージやアクリルケージはもちろん、100円ショップで販売されているようなシューズボックスもケージとして活用することができます。
ヘビは脱走が得意な生き物なので、扉やフタがきちんと閉まるものを購入しましょう。
セイブシシバナヘビはあまり大きく成長しないヘビなので、比較的小型のケージで飼うことができます。
オスであれば幅30×奥行き20×高さ15cm程度、メスであれば幅45×奥行き30×高さ30cm程度のケージを用意しましょう。
飼育に必要なケージの床面積は、セイブシシバナヘビがとぐろを巻いた状態の3倍以上が目安です。
幼少期であれば小さなケージを、成長して窮屈そうならさらに大きなケージを…といった具合で、ヘビの成長に合わせてケージサイズを変えてあげるのがポイントとなります。
水入れ
ケージ内でいつでも水が飲めるように、水入れも用意してやりましょう。
100円ショップで販売されている背が低いプリンカップやココット、小さめのタッパーなどに水を入れて、ケージの隅に置いてやります。
水入れによじ登って倒してしまうこともあるので、適度な重さがあり倒れにくい形状のものがおすすめです。
中に注ぐ水は、常温の水道水で問題ありません。
パネルヒーター
ヘビの飼育では、ケージ内を適温に保つのと同時に、床の一部を温めてホットスポットを作ってやることも重要となってきます。
床面を温めるパネルヒーターも、忘れずに用意しておきましょう。
パネルヒーターはケージの下に敷いて使用するのですが、サイズはケージの床面積1/2~1/3程度のものがおすすめです。
ケージ内にシェルターを設置する場合は、シェルターから離れた場所にパネルヒーターを敷いてやりましょう。
温湿度計
セイブシシバナヘビの適温は25~30℃、湿度は40~60%程度が理想なので、ケージ内が適した温度・湿度に保たれているかいつでも確認できるように、温湿度計も用意しておきます。
適度なサイズ感のものを、ケージ内に設置しましょう。
掃除用品
セイブシシバナヘビ自体は無臭なのですが、フンは結構臭います。
除菌・消臭効果に優れた次亜塩素酸水や、爬虫類用の除菌消臭スプレーを用意して、ケージ内をこまめに掃除してやりましょう。
ピンセット
ピンセットは餌を与える際に使用します。
勢い余って餌と一緒にピンセットを咥えてしまうことがあるので、口の中を傷つけないように、先端があまり尖ってないピンセットを用意しましょう。
餌(冷凍マウス)
餌ももちろん、必須アイテムです。
詳しくは後述しますが、基本的には冷凍のピンクマウスを用意します。
飼育する個体に合ったものを選びましょう。
余裕があれば用意したい設備
もし予算に余裕がありましたら、以下の設備も用意しておくことをおすすめします。
- 床材
- シェルター
- 非接触型温度計
床材
セイブシシバナヘビは床材が無くても飼うことはできるのですが、もし余裕があれば用意してやることをおすすめします。
ヘビに使用できる床材としては、もみの木のチップやウォールナッツサンド、キッチンペーパーなどが挙げられます。
見栄えを重視する場合は、自然由来の床材を使用してみましょう。
セイブシシバナヘビは砂を掘って潜る習性があるため、床材を厚く敷けば、一生懸命砂堀りをする姿を観察できます。
ただし、セイブシシバナヘビはかなり緩めのフンをし、しかもフンの上を平気で這いずり回るため、砂のような床材だと掃除が大変という難点があります。
もし見栄えにあまりこだわらないのであれば、掃除がしやすいキッチンペーパーを使用するのがおすすめです。
シェルター
シェルターも、必須というわけではありません。
もし用意する場合は、すぐに洗えて清潔に保ちやすいものを選びましょう。
非接触型温度計
ケージの床の温度を測る際に便利なのが、非接触型の温度計です。
パネルヒーターを敷いてある場所と敷いてない場所の床温度をすぐに確認することができるため、あればかなり重宝します。
セイブシシバナヘビに適した飼育環境
続いては、セイブシシバナヘビの飼育に適した温度と湿度について解説をしていきます。
温度
セイブシシバナヘビにとっての適温は、25~30℃とされています。
ケージ内を25~28℃くらいに保ちつつ、床の一部分をパネルヒーターで30℃くらいに温めてやりましょう。
湿度
湿度は40~60%程度が最適とされています。
ちょうど私たちが快適に感じる湿度と同じくらいですね。
湿度が下がりすぎると脱皮不全などの影響が出てしまうため、乾燥する季節は加湿器をつけたり、濡れたタオルをケージの上に干して対策しましょう。
お世話の仕方と餌について
続いては基本的なお世話の仕方と、餌について解説していきます。
余談ですが、ヘビに触れる前・触れた後にはきちんと手を洗いましょう!
ヘビの掴み方
ヘビは人の手が目の前に来ると驚いて逃げてしまうため、ヘビの死角からそっと手を入れます。
体の半分から頭寄りのところを、すくい上げるように優しく掴みましょう。
セイブシシバナヘビは体が地面に触れていると落ち着くので、持ち上げたら手のひらに乗せたり、別の容器に移してやります。
基本的なお世話の仕方
基本的なお世話は、フンの掃除、ハンドリング、餌やりと水の交換(水は毎日交換)です。
フンなどで床材が汚れたらその都度交換し、ケージの汚れも拭き取ってやりましょう。
運動不足解消のため、ハンドリングを週1~2週間に1回、10分くらいを目安に行ないます。
餌を与えた直後にハンドリングすると吐き戻しの原因になるため、餌を与えてから2日以上経ってから行ないましょう。
餌の種類と与え方
飼育する個体に適した餌の種類やサイズに関しては、ショップの店員さんに聞いておくのがおすすめです。
ヘビをショップで購入する際に、普段与えている餌の種類やサイズ、量、給餌期間などを確認しておきましょう。
販売されているセイブシシバナヘビのほとんどは、冷凍マウス(冷凍ピンクマウス)に餌付いています。
冷凍マウスを与える際は、まずは40~45℃くらいのぬるま湯を用意し、必要な数の冷凍マウスを10分ほど入れて解凍してから与えましょう。
餌を与えたら何日か連続でフンをするので、フンを出し切ったらまた餌を与える…という給餌間隔で問題ありません。
大体週1~2回の給餌ペースになると思います。
餌のサイズは、少し頑張れば食べられるくらいの大きさがベストです。
すんなり食べられるようになったら、餌のサイズアップをしましょう。
病気や拒食、脱皮不全について
続いて、セイブシシバナヘビが罹りやすい病気や拒食、脱皮不全の症状についてご紹介していきます。
セイブシシバナヘビがかかりやすい病気
セイブシシバナヘビに限らず多くのヘビが罹り得る病気として挙げられるのが、『マウスロット』と『呼吸器疾患』です。
どちらも自然治癒させるのは難しいので、病気が疑われる場合はすぐに動物病院で診てもらいましょう。
マウスロット
マウスロットとは、人間で言う口内炎のようなものです。
床材やピンセットで口の中を傷つけたり、栄養不足、飼育環境の悪化(フンの放置や、温度・湿度が適切でない)などでも発症します。
マウスロットが長期化すると餌を食べることが難しくなるため、なるべく早期に発見し治療を開始することが重要です。
餌を食べてないときでも口からよだれのような粘液を出している場合は、マウスロットを疑いましょう。
呼吸器疾患
呼吸器疾患は人間で言うところの、風邪のような症状を指します。
セイブシシバナヘビが罹ると、鼻が詰まったような「プスプス」という呼吸音を発するようになるのが特徴です。
こちらも栄養不足や飼育環境の悪化が原因で発症しやすいため、発見次第すぐに病院を受診するのと同時に、飼育環境の見直しも徹底しましょう。
拒食
セイブシシバナヘビは、脱皮前や秋から冬にかけての季節の変わり目に拒食(餌を食べなくなる)をする場合があります。
特にオスは気圧の変化を敏感に察知するようで、メスよりも拒食をすることが多い印象です。
拒食中に餌を見せると、「フシュー!!」という威嚇音を発します。
健康である程度成長したヘビであれば、2ヶ月間ほどは餌を食べなくても問題ありません。
ただし2ヶ月間以上拒食が続く場合には、栄養不足が懸念されるため、病院を受診することをおすすめします。
脱皮不全
ヘビは定期的に脱皮をする生き物です。
ただしケージ内の湿度が低いと脱皮殻が体に残り、脱皮不全を起こしてしまう場合があります。
体に残った脱皮殻を放置すると、体の一部が壊死する危険性があるため、発見次第すぐに人の手で取り除いてやりましょう。
30℃くらいのお湯に10分程度ヘビを浸けて、ふやけた皮を取り除く方法がおすすめです。
ヘビが溺れないように、水深は5cm以内に留めておきましょう。
飼育上の注意点と、飼育前に確認すること
最後に、セイブシシバナヘビを飼育するうえでの注意点や、飼育前に確認しておくことについて解説していきます。
セイブシシバナヘビを飼育するうえでの注意点
セイブシシバナヘビの唾液には毒があります。
人が噛まれると腫れたり痛みが出る場合があるため、噛ませるような行為をしないことが大切です。
ヘビが嫌がっているのに無理やり触ったり、餌のにおいのついた指を顔の前に差し出すなどの行為は、絶対にしないようにしましょう。
飼育前に確認しておくこと
『ヘビ』という生き物の性質上、どうしても万人受けしないという現実があります。
ヘビを飼う場合は、世話を自分一人で行なうとしても、同居者には必ず報告をしましょう。
飼育を始める前に、ヘビを診察できる動物病院を探しておくことも大切です。
まとめ
今回はヘビ飼育初心者におすすめのセイブシシバナヘビについて、飼育に必要な設備や適した飼育環境、基本的なお世話の仕方などについて解説してきました。
ヘビは平均して15年と長生きする生き物なので、『最期まで責任をもって育てられるかどうか』という部分がとても重要となってきます。
大切な生体のために適した飼育環境を用意するのはもちろんですが、最期まで愛情を注いで飼うという覚悟ももって迎い入れましょう。